学習空間NOAH

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教育コラム 「先生、その教育もう古いです!」

【第31回】 入試もオンラインに変わる?

カンニング

 新型コロナウィルスの影響で、子どもたちを取り巻く教育環境は大きく変化しています。オンライン授業の普及はその中で一番大きなトピックですが、その次に待ち受けるのが「オンライン入試の導入」です。
 さて今までと同じ形の入試をオンラインで実施できるでしょうか? 私の考えではNOです。問題用紙をどのように配布するか、解答用紙をどのように回収するか、不正行為がないようにどのように監督するか等、解決できないことが多いのです。だからオンライン入試は今までとは根本的に異なるスタイルになると予想されます。
 まずは当日の試験では、紙ベースではなくデータ送信での返答が基本となります。それに伴って記述式の問題が増え、キーボード操作が必要となるでしょう。また学力の観点も、今までの「知識・技術」だけでなく、様々な学力を総合的に測る方向にシフトします。例えば志望理由書や事前課題等をデータで提出し、それに基づいた内容の面接をオンラインで行うことはできます。さらに学校の成績も評価対象として見られる割合が高まるでしょう。
 そしてこのオンライン入試は、今年の入試からいくつかの学校で海外生対象に行われます。今年海外で入試を実施するには新型コロナウィルスの関係で制約が多いこと(渡航できるか、会場は使えるか、等)が一番の理由ですが、このような入試の内容は現在求められている新しい学力観にマッチしており、試験的に導入するには帰国生入試がちょうどいいという面もあります。
 このような急激な変化に生徒および保護者の皆様は戸惑うかもしれませんが、まだ日本での一般入試は今まで通りの形式になると思われるので、テストに向けての対策は根本的なところでは変わりません。しかし新しい形式による入試を導入する学校を目指す場合、プラスアルファの対策が必要になるので、次の点を意識して頂ければと思います。
 ・志望理由書や面接等が必要になれば、教科学習以外の事前準備が増えます。志望校選びをを早めにしっかりと行うことが大事です。
 ・高校入試では通知表の評価が重要になる場合が出てきます。中3の1学期の評定が使われるケースが多くなるでしょう。
 ・当日の試験でPCの操作に手間取らないよう、キーボード等の基本的な操作はできるように練習しましょう。
 図らずも新型コロナウィルスの影響で、教育界では将来導入される予定が前倒しになっています。加速度を増す不確実な世界で、日本の入試も今までのままならば「ガラパゴス化」するのかもしれません。今までの常識にとらわれない考え方が、私たち大人側に求められそうです。

【第32回】 教室での授業とオンライン授業は共存できる?

ネコとネズミ

 7月に入り、学習空間NOAHでも教室での授業が再開されました。日本人学校をはじめとする一部の教育機関では、着任する予定だった先生がまだタイに入国できないため分散登校をせざるを得ない状況となっていますが、幸いなことに学習空間NOAHでは7名の講師陣が全員揃っているので、通常通りに授業を進めています。
 しかし日本への一時帰国から戻れない生徒もいるので、学習空間NOAHでは引き続きオンラインでも参加できるように設定しています。事前に希望調査をしたところ、オンラインでの受講を希望する方もそれなりにいましたが、実際に教室での授業が始まると、最初はオンラインで申し込んでいた生徒が途中から教室での受講に切り替えるケースが出てきました。オンラインに慣れたといっても、やはり教室で受講した方が面白いし、直接のやり取りを通して見えるものが多いのです。
 「それならば全面的に教室での授業にすればいいじゃないか」という声や、講師側にも「全員が教室で受講できれば…」という気持ちはあります。それでも私たちは敢えて、「通塾とオンラインの共存」を目指したいと思います。その理由は、「通塾に対する負担感」です。
 これからの数カ月間、バンコクは雨期真っ盛りとなり、大雨で冠水することもあります。そのような日は道路が大渋滞となり、送迎バスが立ち往生することもあります。さらに学校が本格的に再開されれば、朝早く起きて、長い時間バスに乗って移動する生活となります。本来ならば授業の中身で塾を選びたいのだが、通学時間の理由で近場の塾を選ぶケースは今まで少なからず見られました。
 しかし今回の休校措置で私も在宅勤務を経験し、気付いてしまったのです。「これで十分やれるなら、わざわざ教室に行かなくてもいいじゃん!」と(笑)。そして同様に、子どもたちにとってもオンライン授業で十分やれるならば、わざわざ塾に行かなくてもいいのかもしれないのです。もちろん教室で授業を受けた方が面白いし、教育効果は上です。しかし通学の負担等を考えたとき、どちらがいいかは個々の状況によって異なるものです。
 生徒の状況や学習内容によっては教室で直接見ないと難しい場合もありますし、最初の体験授業は教室で受けた方がいいと思いますが、学習空間NOAHではできるだけ多くの生徒が自分に合った学習方法を選べるようにしたいと考えています。予習動画をはじめとする新しい手法も含めて、子どもたちにとってより効果的な学習スタイルを提案できるよう、実践的にチャレンジし続けたいと思います。

【第33回】 オンライン学習で学力差は広がる?

格差

 アメリカでの研究データによると、オンライン学習によって良い効果が出る生徒は全体の約1割で、逆に悪い影響が出る生徒も約1割いるようです。一般的に成績が優秀な生徒にとってはオンライン学習は効果的で、学習意欲が弱い生徒にはオンライン学習は向いていないと言われていますが、その通りの数値だと言えます。
 しかし学校が再開されてから1カ月以上経ち、今回の長期にわたるオンライン学習で悪い影響が出た生徒は1割どころではなく、予想以上に学力差が広がっていると感じています。
 例えば7月に行われた日本人学校中学部の定期テストは、長期にわたるオンライン学習を踏まえて例年よりも問題は易しめになり、平均点もやや高くなっていました。(学習空間NOAHでも、在籍している日本人学校生の平均点が90点以上となった科目もいくつかありました。)ところが点数を大幅に落としている生徒も増えているようで、上位と下位の差がはっきりと表れているようです。
 小学生にも影響が出ています。学校再開後にテストを実施した結果、学習内容が全く定着していないことが明らかになったケースをたくさん聞いています。オンライン学習ではお子様がモチベーションが保てず、勉強嫌いになってしまったケースも同様に多く聞いています。このようなご相談をされるご家庭はまだ大丈夫なのですが、状況が見えずに後手に回っているご家庭がそれ以上にあると考えると、かなり深刻な状況だと思います。
 予想していた以上に、今まで普通にやっていたはずのお子様でも、「オンラインの罠」にはまってしまったケースが多いようです。周りの生徒の様子が見えず、どこまでやればいいかが分からず、そのためペースが上がらず、レベルが上がった新学年の学習内容に対応できず、でも何が分かってないかが分からず、、、という問題が積み重なってしまうのです。
 これを解決するには、周りの生徒の様子が見え、やりがいを感じられる環境で学習させるべきですし、その点において学習塾は一番適していると思います。学習に対する苦手意識を持ってしまうと、悪循環に陥ってしまい、今後の成長にも影響を与えます。何か不安に感じられることがございましたらご相談ください。
 ・学習に対する不安を減らすために、自信を持てる経験を与えましょう。
 ・ご家庭ではケンカになりやすい学習指導は、第三者に任せましょう。
 ・学習習慣は簡単に身につかないので、中長期的な視点で育てましょう。
 ・再び休校・オンライン授業になる可能性も考えて、準備しましょう。
 ・見えないところで学力差は広がっています。早めに動きましょう!

【第34回】 帰国生入試が変わる!

自撮り

 先日「帰国生入試が変わる!」というタイトルのセミナーを行いました。今回はオンラインでもご参加頂けるようにした結果、過去最高の参加者数となりました。(この場を借りて、ご参加頂いた皆様に感謝申し上げます!)
 さて今回のセミナーでは、新型コロナウィルスの影響で変化する帰国生入試の現状を踏まえ、どのような方法・内容で実施され、どのような準備を進めるべきかをご紹介しました。要約すると、次の通りです。
 例年ならばバンコクやシンガポールで実施される「海外入試」が、入国制限等の影響で今年は多くの学校で中止になり、その代わりに海外生対象の「オンライン入試」が様々な学校で実施されます。特別措置としての実施も含めると、20校以上の学校が行う予定です。
 オンライン入試ではどの学校も面接を実施しますが、それ以外の内容は多種多様です。今まで通りの筆記試験を実施する学校もあれば、面接にて「口頭試問」の形で教科内容を質問する学校もあります。当日に作文・小論文を書く学校もあれば、事前に課題を提示し、作文を提出してもらい、面接でその内容について質問する学校もあります。志望理由書を提出する学校もあれば、「自己アピール動画」を提出する学校もあります。
 このようにオンライン入試では、事前に提出する書類や学科試験以外の準備が求められるので、教科学習以外の負担が増えます。また準備にかかる時間を考えると、受験校も今までより早めに決定すべきです。さらに当日の筆記試験の代わりに今までの学校での成績や英語のスコア等が見られる割合が高まるので、受験学年以前での努力もより見られます。
 しかし見方を変えると、そのような事前準備や当日の面接等を通して、受験生は「知識・技能」という今までの学力だけでなく、「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」という新しい学力、つまり将来に向けて役立つ力を身につけられます。しかも今後の大学入試では、そのような新しい学力が求められる機会は確実に増えていきます。オンライン入試は、様々な場面で役立つ力を得られるチャンスになるのです。
 私たち大人が受験をした時代にはなかった入試方式が多く登場し、数値化しにくいものも評価対象となっています。そうなると点数や偏差値はどのような意味を持つのでしょうか? オンライン入試は、今まで私たちが当たり前だと思い込んでいたものを変えるかもしれません。このように変化する状況だからこそ、「未来の世界で求められる力」は何かをいま一度考え、それを子どもたちが得られる機会を積極的に作りたいものです。

【第35回】 動画が塾の授業を変える?

編集作業

 オンライン授業の実施に合わせて、動画を活用した授業も学校や塾で広がっています。学習空間NOAHでも中学受験算数と高校受験英語・数学でオリジナルの予習動画を作成し、約半年で200本以上(!)作成しています(改めて数えるとビックリします…)。
 予習動画の良い点は、一時停止や早送り等を使って自分のペースで学習でき、分からないところは繰り返し視聴できることです。また時間が経ってから復習で活用したり、先に進んでしまった学習内容を見ることもできます。このようなメリットがあるから、学習空間NOAHでは教室が再開された7月以降も引き続き動画を活用しています。
 さてこの予習動画、塾生向けの限定公開ではなく、すべてYouTubeで無料公開されているので、NOAHに通ってない方でもご覧頂くことができます(詳しくは後ろの「習いごと」のページをご参照ください)。数年前からYouTubeには小中学生向けの授業動画はたくさんアップされていて、生徒たちはそのような動画を自習で活用していました。教室だけが知識を得る場所ではないし、そのためにお金を払う必要もないのです。だから私たちの動画も無料であるべきだと考えています(動画を作るのに結構時間はかかりますが…)。
 「それなら塾の必要性がなくなるのでは?」という意見もあります。確かに基本レベルの学習内容ならば(中学受験でさえ)動画で揃っていますし、それをわざわざ授業で受ける必要はないでしょう。ただし自学自習が難しい生徒には、動画よりも今までのような対面式の授業の方が効果的でしょう。動画を利用して学習できるようになるには、学習習慣とモチベーションが重要なのです。
 では動画での自学自習ができる生徒はどうでしょうか? そのような生徒には、旧来の知識詰め込み型の授業は必要ないでしょう。しかし求められる学力が「知識・技能」だけでなく「思考力・判断力・表現力」や「主体性・多様性・協働性」も求められる現在、そのような新しい学力を身につけるためには双方向性のアプローチが必要なのです。動画の決定的な弱点は、一方通行であることです。それに対し教室では、周りの生徒と共に考え、話し合うことを通して、自分の意見を構築することができます。
 これからの時代は、基本的な知識を動画等で事前に学習し、それを前提に実践的な応用レベルを教室で学習する組み合わせが広がると予想しています。実際に学習空間NOAHでも予習動画を取り入れてからは、今まで以上に多様なアプローチを授業の中で実践しています。それに伴い、今まで以上に生徒も楽しそうに教室で学習しています。私たちは今、学習塾の授業が大きく変わる転換期を走っているのかもしれません。